今回ご紹介するのは伊坂幸太郎さんの大人気小説「殺し屋シリーズ」についてです。
現在4作品刊行されている大人気シリーズなのですが、シリーズ全体の魅力は他の記事で詳しく書いておりますので、各作品それぞれがどんな内容なのかについて、掘り下げて書いていきたいと思います。
※ネタバレはありません。
このシリーズは、とにかく殺し屋のキャラクターが魅力的だというお話を前の記事でもしたんですけれど、その愛すべき殺し屋達についても、ネタバレにならない範囲でそれぞれ紹介していこうと思います。
今回は第3作目『AX』についてご紹介します!

こちらは2017年刊行の作品で、タイトルの意味は「斧」です。
あらすじ
本作も前作までと同様に殺し屋は出てくるんですが、主だった人物は一人だけです。それが主人公である「兜」という名の殺し屋です。
- 兜
彼も超一流の殺し屋です。表の顔は普通のサラリーマンをしていて、息子も一人。
面白いのがこの殺し屋、奥さんに対してめっちゃ弱いんですよ。いわゆる恐妻家です。殺し屋としての仕事をしているシーンはめっちゃかっこいいのに、家では奥さんの顔色を伺ってオロオロしているというギャップが面白いです。
そんな兜なのですが、家族のことを思って、殺し屋を引退しようと決意します。
ただ、裏社会のルール的なものもあって、簡単に足を洗えるはずもなく、引退には莫大な資金がいるとを言われます。その資金を稼ぐため、仕方なく殺し屋家業を続けていくのですが、、果たして無事に引退できるのか、といった話です。
特徴
前作までの2作品は、いわゆる群像劇(語り手がコロコロ変わっていく)といった形をとっておりました。
しかし本作は殆どが、主人公の「兜」の一人称目線で話が進んでいくというのが一番の特徴です。
これまでのシリーズを読んできた僕からしたら、「ちょっとどうしちゃったの殺し屋シリーズ!テイスト変わってるじゃん!」って最初は思っちゃいました。もっと早く、派手にやりあってくれよみたいな。
しかしですね、読み進めていくとこれがまた良くて、兜の人となりをとても深く知っていくことができるんですよね。だから余計に、主人公に対して思い入れが湧くんですよね。
裏の仕事をしている時は殺し屋としてめちゃめちゃ格好いいのに、家では奥さんにビビりまくっている、そして、家族のことをちゃんと考えている。
これって普通に仕事をしているサラリーマンと一緒だと思うんですよね。だから、兜に対して、頑張れ!って自分ごとみたいに思えるんですよね。
兜という一人の人物を掘り下げた作品なので、どうしても物語のスピード感という点では前2作品に劣ってしまうかもしれませんが、後半にはしっかりと、伊坂幸太郎さんらしく畳み掛けてくれます。
シリーズの中では、これまでとは一味違った作風にはなっていますが、人によってはこちらの方が刺さる方もきっといるはずです!


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