島津輝さん、おめでとうございます👏
ということで、2025年の直木賞ノミネート作品について書いていこうかなと。
受賞作はもちろんですが、他の作品も落選の一言で終わらせるには
あまりにももったいない!
そう思って、全5作品の魅力について書いていこうと思います。
※ネタバレはありませんのでご安心を。
ご紹介する一作目はもちろん
カフェーの帰り道(島津輝著)です!
あらすじ
大正から昭和にかけての戦争真っ只中、あるカフェーで働く女性たちの姿を描いた連作短編小説。
カフェーとは当時の言葉で、その実態は今でいう居酒屋とキャバクラの中間みたいな飲食店を表すようです。
そこで働く女性は、当時の言葉で言う「女給さん」で、本作の主人公となる人物たち。
「女給さん」っていうのは、今でいうところのウエイトレスさんみたいなイメージですが、単なる店員さんではなく、今でいうホステス的な能力も必要な職業。
この女給という、時代を映す鏡のような仕事に努める個性豊かな女性たちの人生を、さまざまな視点で描いていくというお話でございます。
感想
一言で表現するのは難しいんですが「柔らか」とか「しなやか」と言った言葉が似合う小説でした!
この作品、短編なので章ごとに主人公が変わっていくんですが、その女性たちの生き様が
とにかく美しいんですよね。
戦時中なので何をするにも我慢を強いられる中なのですが、それでも他者を思いやる気持ちというのを皆が当たり前のように持っているんですよ。
それでいて、各々が大切にしているもの(家族であったり夢であったりとか)をしっかりと持っているので、その内に秘めた強さというか、軸を持っているところが、読んでいてとても美しく感じました。
とにかくねー、この女性たちが毎日を一生懸命ながら朗らかに生きているんですよ。物語の舞台となっているカフェーなんですけれど、ここが田舎でちょっと寂れているっていう設定も最高で、女給さんや常連さんが心からリラックスしている空気が、読者にも伝わってきます。
ただもちろん忘れてはいけないのが、あくまで当時は「戦時中」ということ。愛する家族に徴兵命令が届く、食糧不足による飢餓、空襲による被害といった、目を背けたくなる現実ももちろん起こります。
その残酷さが却って、彼女たちが当たり前に生活している日常の尊さを、余計に際ただせてくれる要因にもなっているかなと思いました。
この作品は今から約100年前の時代設定なので、とんでもなく昔という訳でもないんですよね。ですから、登場人物の考え方や行動に置いていかれることも僕はなかったです。むしろ、現代との違い(カフェーという言葉の概念が違ったりとか)を比較しながら読める面白さもあったなと思いました。
本当にこの本、このタイトルの通り、心に余裕がある暇な時に、落ち着いた喫茶店とかで読むにはぴったりの小説だと思います。
落ち着いた雰囲気に浸りたい、長編小説は苦手という方にはぜひおすすめの一冊です!


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